公益性を高め、不平等を解決

諸田・岡本ペアは自治会費値上げを塾生に理解してもらうために、全塾協議会の公益性を高めることで利益還元の不平等を解決する方針だ。諸田さんは自治会費制度について「皆でお金を出し合うことで得られる目に見えない価値を生み出すために頑張りたい」と語る。

本格的に値上げの動きが見え始めた自治会費改革を諸田・岡本ペアに委ねられるか有権者の判断が問われる。

***

自治会費の増額及び情報公開の強化

自治会費制度調査会が自治会費値上げのために本格始動した。事務局次長候補の岡本さんは同会の代表を務める立場にある。現職の事務局次長として自治会費値上げを議論してきた諸田さんと協力し、公約の実現を進めていく考えだ。

諸田さんは「まずは全塾協議会の活動を知ってもらうことを、次に資金が足りていないことを広報していく」という。学生に自治会費値上げの必要性を納得してもらうためにはより徹底した予算配分や使途についての説明が求められる。

しかし現状では、全塾協議会のウェブページで公開されている議事録が8月以降更新されていないなど情報発信は十分ではない。現在、事務局次長を務める諸田さんによれば、主に3年生の活動局員が少なく人手が不足しているからだという。来年度からは下級生が実務を担うことで広報に力を入れていく。

また、各下部団体との連携に重点を置くことで自治会費の使われ方の詳しい調査をはじめ、活動のサポートにも踏み込む。さらに、今後の自治会費値上げに備えて監査体制を強化することも公約に含まれる。将来的には監査に特化した機関を全塾協議会に設けることをめざし、まずは事務局内に監査を専門に行う人材を育てるという。

塾生の代表としての全塾協議会の強化

公約の中で、「塾生向け窓口の設置」が明記されている。諸田さんは「何か学生生活で困ったことがあったときに気軽にメールできるような窓口」だと説明する。全塾協議会に直接関係のない塾生にその存在を身近に感じてもらうことや、塾生の意見を集約し、慶大の各機関に伝えるなど塾生の代表としての役割を担うことを狙う。

全塾協議会で対応できない問題には各相談窓口などを紹介していくという。また、全塾協議会の所属団体への苦情やトラブルなども受け付け、話し合いなどを通して問題の解決を図っていく。

各キャンパスとの連携強化

SFCや矢上キャンパスへの利益還元率が低いという批判が従来の自治会費制度にはあった。そのため、各キャンパスへの交付金の増額を協議会は図ってきた。

しかし、さらなる利益還元のためには全塾協議会の所属団体の数を増やすことが望まれる。特にSFCにおいて、既存の独立団体を新規に迎え入れていく方針だという。

現在、SFC内で全塾協議会に加盟している団体は、秋祭実行委員会のみである。SFCでは自治会も機能しておらず、全塾協議会の認知度も低い。こうした状況下でSFCの加盟団体数を増やし、なおかつ財源を確保するまでには課題が多い。

諸田さんは「自治会費制度の問題は利益の還元と繋がっている」と述べている。

各キャンパスに平等な還元をめざすには自治会費を増額し、それを財源にしなければ厳しい。だが、平等な利益還元が不確である状況で、本当に全塾生が自治会費値上げに賛同するのか、今後選挙の大きな焦点になりそうだ。