来年度から慶大では4学期制の実施が可能になる学事日程の導入が決まった。現行の春・秋学期をそれぞれ二分割し、約2カ月を単位とした授業を設置可能とするものだ。学生の海外留学、インターンシップへの参加が容易になることが期待される。

もし、4学期制が本格的に導入されるとどうなるのだろうか。4学期制では単位取得にかかる期間を今までの半分にする代わりに、授業を週2回設置することで短期間での集中的な単位取得が可能になる。平均週5科目程度の欧米の大学と比較すると、日本の大学の授業は現在週10科目程度と2倍近く多い。週2回の授業にすることで、少数の科目に集中することができるというのは学生の学習にとってメリットだろう。

また、2学期以降に必修科目を設置しないことも検討されている。設置されなければ、2学期から夏休みまでの期間を利用しての留学や長期ボランティアへの参加が容易になる。だが、4学期制が導入されても、すべての授業が4学期制に対応するわけではない。時間をかけることで学習効果が高まると考えられるゼミなどは、現行の2学期制や通年の授業形態が残ることが考えられる。2013年度から4学期制を導入した早大では、4学期制に対応したものは全体の1・8%に留まった。このように2学期制の授業が多く残れば、当然、メリットは小さくなる。さらに今回の慶大の場合、学部ごとに実施を決定するため、学部間で制度に違いが生まれる可能性がある。そうなった場合、他学部の授業を取ることが難しくなるなど、かえって多様性が失われてしまうのではないかと懸念される。

さらに現在、一番大きな問題だと思われるのが、学生の間で強いインパクトをもって4学期制という言葉が受け止められていることだ。学部ごとに4学期制を導入するのか、しないのか。完全に授業が4学期制の形態に移行するのか、2学期制の形態が残るのか。実際にはこれから年末までに調整をしていく部分が多々あるにも関わらず、「慶大が4学期制を導入」という言葉のみが独り歩きしてしまっている。突然の発表に詳細が分からず、不安に思う学生も多い。学生部としてもプレスリリースのみならず、さまざまな方法で学生に4学期制についての情報提供をしていくべきである。

全学部での4学期制実施が決定したわけではないが、各学部には、真に学生のためになるような判断を行い、しっかりと学生に対して説明を行うことが求められている。