近藤雄介さん(左)と青柳勇希さん(右)

その心は「塾生の模範たれ」
秋学期を前に、体育会の試合の応援に足を運んだことのある新入生は少なくないだろう。応援席で味わう高揚感、一体感を入学後の楽しみの一つに数える受験生もいるのではないだろうか。そこに欠かせないのが、應援指導部の存在である。

應援指導部リーダー部は起源を明治時代にまでさかのぼる、伝統ある部だ。今回は、応援のプロとしての精神に迫るべく、應援指導部主将の青柳勇希さん(商4)、リーダー部責任者の近藤雄介さん(文4)にお話を伺った。
応援そのものには「不思議な力がある」と青柳さんは語る。応援と勝利に決して直接の関連はないが、応援が盛り上がったときに選手たちが好プレーを見せる場面を何度も見てきたという。大きな声援が選手の士気を高めているのは間違いない。

また、近藤さんは、試合に駆け付けた全ての人が応援を通して感動を共有できることにかけがえのない価値や魅力を見出している。同時に、全体の応援をリードする役割に責任を感じていると話す。

次に、慶大の應援指導部独自の魅力として、青柳さんは観客とのコミュニケーションを挙げた。「笑顔」という言葉が好きだという青柳さん。応援席の反応に注意を払い、どうしたら観客が笑顔で楽しんでくれるかを常に考え、改善し続けている。応援席の抜群の一体感は、「観客みんなが応援団」という應援指導部の精神に支えられているのだ。

それぞれの役職を務める上で心がけていることを伺うと、青柳さんは「みんな仲良く!」と一言。リーダー部、チアリーディング部、吹奏楽団の3部門を統括する主将の一番の願いは部内の結束だ。そして、塾生に應援指導部を愛してもらえるように人とのつながりを大切にし、生活面にも気を配る。

近藤さんは「自分がいることで部内に緊張感が生まれるような存在でありたい」と語る。そのためにまず自らが全力で部活動にあたることを大前提として、常に自己に厳しくすることを心がけている。また最上級生として、部全体の様子を見ながらリーダー部の統率を図っている。

リーダー部は今年度、「伝統」と「変革」が共存する部を目指して鋭意活動中だ。引き継ぐべきは形式ではなく、思い。部の既存の規則に対しても、その「思い」に沿ったものであるかを常に考え、積極的に話し合って見直している。

その「思い」とはどのようなものだろうか。それはまず、塾生に愛塾心を持ってほしいという願いだ。福利厚生団体である應援指導部は今も昔もこの願いを根底とし、応援を通して慶大をまとめつつ、塾生生活をより豊かにしようとしている。そしてこのような立場にある者として、部員一人ひとりが「塾生の模範たれ」という言葉を心に留めて毎日を送っているという。

9月には東京六大学野球の秋季リーグが始まる。春は観客が応援方法を理解し切れず覇気も足りなかったそうだ。秋までに改善し、「楽しい応援だった」「慶應を好きになった」と言ってもらいたいという。

最後に、慶大を志す高校生に向けて応援メッセージをお願いした。二人揃って強調したのは「ここで生まれたつながりは間違いなく一生の財産になる」ということ。

さらに近藤さんは「慶應は知れば知るほど奥が深い大学で、受験勉強をする価値が間違いなくある。応援はもちろん、何らかの形で少しでも多く『慶應』を感じて大学への思いを深め、受験勉強の原動力にしてほしい」とエールを送った。  (成田沙季)