パリで開かれた展示会の様子
日仏つなぐ漫画の力
世界的に評価が高い日本のアニメと漫画。フランスの漫画普及率が、日本に次ぐ第2位であることをご存じだろうか。
AMAF実行委員会は、漫画を制作する学生の情報発信や国際交流を目指し、3年前に設立された団体。漫画を「制作する視点」を海外に広げていくことを軸に活動し、年1回ワークショップや日仏合同漫画展示会をフランスで開く。フランスにおいては、漫画はビジネスというより芸術としてとらえられることが多い。日本の環境でうまく表にでることのできないアーティストにとっては、フランスが新たな活動拠点となる。
今年は9月3日~7日に展示会とワークショップを開催。今後の作品制作の刺激になればとの思いで準備を進め、関連企業と交渉中だ。企業ブース展開で製作に必要なツールを届け、新たな漫画家を育成することも狙う。
代表の鈴木しおりさん(経2)は、先輩に誘われて活動を始めた。当初の動機はたった3人でフランスでイベントができるという好奇心からだったが、日本の文化を愛してくれている海外の人々の姿を知って、活動に熱が入ったという。「文化をきっかけに人と人のつながりは広がっていく。世界中の人々が日本に興味を持っている今だからこそ、漫画というポップカルチャーを通して日本と世界をつなぐお手伝いをしたい」と語る。
漫画界では、日本から世界に多くの作品が発信されているが、日本国外で創作する視点はいまだ普及していないのが現状だ。また、学生アーティストが作品を発信する機会が少ないことも課題の一つである。
それを踏まえて、AMAF実行委員会には目指す将来像が2つある。1つは、漫画制作が難しい環境にあるフランスに、制作する文化を根付かせること。フランスのアーティストによる作品が、日本に大きな影響を及ぼすようにし、漫画に対する芸術的思想を日本の漫画業界に意識させていくことが狙いだ。
2つ目は、フランスの環境を改善し、マンネリ状態の日本の競争相手となってもらうこと。ライバルが生まれることによって、日本の出版業界の活性化や文化交流が可能になる。
「見る側」から「創る側」へという新しい視点を提供し、日本を代表する文化を国外に発信する塾生たち。今後もその活動を見守っていきたい。 (岡庭佑華)