充実した生活を送ることが大切
4月を迎えると4年生はいよいよ就活の面接が本格化する。就職の氷河期とも呼ばれる今、下級生のうちから就活について考える学生も少なくない。そこで三田キャンパス学生部の佐藤吾郎さんに塾生の就職活動についてお話を伺った。
一昨年、就活に大きな動きがあった。就活の早期化や長期化による問題を巡り、日本経団連は2013年卒から企業の広報活動の開始を今までより2カ月遅い12月1日としたことである。企業による採用面接が4月開始であることは変わらないため就活は短期決戦となり、以前にも増して厳しいスケジュールとなった。「就活生にとっては10月からの2カ月間をどう過ごすかは大事。企業や業界分析が足りないといった人事からの声もあったが、内定取得状況はほぼ例年通りで学生も頑張っていた」と佐藤さんは話す。
就活を考える上で大事なことは三つある。まずは正課を通して自分の頭で考える力をつけること。問題解決にあたり自ら情報収集をし、仮説をたて、実証的な方法で検証していくという「実学の精神」を学問の積み重ねから身につけたい。というのも、就活ではテクニックやマニュアルよりも自分で考える力が必要とされるからだ。学問の積み重ねから、受身ではなく自分で考え、自ら取り組んでいく姿勢を学んでいくことが大切だ。
二つ目は、課外活動を積極的に行うこと。企業の求めるコミュニケーション能力や自主性を身につけるには、サークル活動やボランティア、アルバイトなどにしっかり取り組むことが大事である。面接でよく問われる「大学生活で力を入れたことは何か」というような質問にしっかりと答えられるような大学生活を送りたい。
最後に、慶應義塾の「半学半教」の伝統を大事にすること。普段から学問や課外活動を通じて教員や友人、またOB・OGなどとつながりを持っておきたい。それが就活においてさまざまな世代とかかわっていく際に、有益な情報を得たり、臆することなく自分の意見や考えを伝えることにつながるだろう。
慶大の就職支援の特色は「草の根の就職支援」である。企業からの求人情報を提供しているほか、塾員6万人1000社にものぼるOB・OG訪問用の情報データベースもある。個別相談にも力を入れており、予約制の個別相談、予約なしの相談、内定者の4年生による就活相談がある。また各キャンパスの特性に合わせた就職ガイダンスは年に合計130回以上開催され、業界研究、就活のやり方、OB・OGや内定者によるパネルディスカッションなど内容は多岐にわたっている。
各学年に対するアドバイスを伺ったところ、1、2年生はまず正課や課外活動など大学生活を充実させ、そこからコミュニケーション能力や自主性、実学の精神などを身につけてほしいとのこと。大学生活が充実していると答えた人のうち7割以上が第一志望群から内定を得たという。3年生に対しては、「ただ有名企業を目指すのではなく、自分の能力、価値観や強み、興味といったことを考慮して広い視野を持って企業や業界を選んでほしい。就活の中で悩みや話を聞きたいことがあれば、気軽に就職担当に相談してください」とエールを送った。 (安田麻里子)