受験が終わって一息ついたのもつかの間、大学では多くの授業でレポート課題が出される。新入生の中でレポートや論文を書いた経験の少ない人は、突然の課題に戸惑うかもしれない。そこでレポート・論文の書き方を基礎的なところから知るため、塾員である立教大学文学部教育学科の河野哲也教授にお話を伺った。
そもそもレポートや論文の感想文との相違点は何なのか。感想文は高校での国語の延長にすぎず、ただ自分の意見を書き連ねたものであるのに対し、レポート・論文とは自分の意見を立証するもので、多くの人に発信するためのものである。大学における「学問」の基本は、疑問に思ったことを立証して何らかの答えを出すということだ。レポートはこの「学問」の形式の基本なので、多くの授業で課題として出される。
レポート・論文の絶対の形式は「序論・本論・結論」だ。序論ではテーマや問題提起を、結論ではテーマに関する答えを明記する。本論では結論に至る理由を立証する。この際、しつこいくらいに説明することが肝心である。これは、レポート・論文はたくさんの人が読むということが前提で、多くの人に理解してもらう必要があるからだ。
レポートや論文は、国語で習う「起承転結」の形ではなく、数学の式や、仮説を立て実験をして確かめ、実験結果から考察をするといった理科の実験レポートの方に形式が近い。他にも、推理小説を念頭にレポートを書くのもよい。つまり、事件が起きる(=問題提起)、証拠と推理によって事件を解明する(=本論)、最後に犯人を特定する(=結論)といった形だ。問いを重ねることで、自分の仮説を証明していくことが大切だ。
また、指示された著書を読み、論ずるというブックレビューのレポートもしばしば課題となる。これに関しては、まず一度課題著書を通読し全体の流れを確認する。この際分からないところがあっても飛ばして読み、細かく理解する必要はない。二度目は全体像を把握し、自分の気に止まった章に絞って読む。読むときは疑問や反論があった個所に付箋を貼るなどして印をつけておき、その部分をテーマにする。そして、要約、テーマ提起、本論、結論の手順で書くとうまくレポートをまとめられる。ブックレビューは、本を人だと思って質問していくという、著書と自分との対話を文章化したものなのだ。

繰り返して書くことが上達につながる
では、具体的にレポート・論文を書けるようにするためにはどうすればよいのか。まず、レポート・論文の書き方のための本を一冊読み、構造や注釈の示し方を知る。次に、図書館などに置いてある実際の論文を読み、形式を参考にする。そして実際に書いてみることが大切だ。
レポートが上手く書けない理由の一つとして時間が足りないということが挙げられる。1つのレポート作成においても、3週間から1カ月程度の時間をかけて取り組むことが大切だ。また、友人と交換してチェックしあうことや、先生に見てもらうのはより効果的である。「書いたら人に読んでもらい、指摘を受けて書き直すという繰り返しの中で、書き方が上達してくる」と河野教授は話す。
レポートや論文は自然に書けるようになるものではない。自ら意欲的に書いて上達していくものだ。学生たちには是非真剣にレポート・論文の課題に取り組んでもらいたい。     (柳井あおい)