保険業の変遷と未来を考察
顧客ニーズを創出する時代へ

慶應保険学会設立60周年記念講演会、「日本の保険業 過去、現在、そして未来」が先月19日、三田キャンパス南館ホールで開かれた。
講演を行ったのはニッセイ基礎研究所社長の野呂純一氏と、損保ジャパン総合研究所社長の百瀬剛氏。講演は第1部と第2部に分けられて進行し、日本の保険業の変遷とこれからの保険業の在り方について語った。
まず野呂氏は、少子高齢化をはじめとする日本の社会形態の変容と、規制緩和や自由化政策など日本経済の転換に伴い保険のサービスも変わってきたことに論及。さらに今後の日本社会の変化における保険サービスの展望について構想を示した。今まで顧客のニーズを求めるあまり、サービスが複雑化してきたことを踏まえ、今後は利用者の視点から「分かりやすさ」を追求する考えだ。
百瀬氏は、損保各社が再編統合や海外進出、関連サービスの拡充などによって事業の拡大を目指してきた歴史に触れた。今後は「新たなライフスタイルの提案」によって顧客ニーズを高める必要があるという。その可能性について「ミシュランのガイドブックがドライブ文化をつくり、タイヤを売り出した」という事例を出して説明した。
講演会には、学会関係者をはじめ業界社会人や学生など幅広い層が参加し、講演に耳を傾けた。