昨年5月17日にSFC研究所に開設されたオープン無線プラットフォーム・ラボ。ここでは現在、多くの教授の協同により広域無線LANのプロジェクトが進められている。しかし、一般の塾生にとっては何が行われているのかが良く分からない状況だ。そこで今回、このプロジェクトの目的や進行状況について環境情報学部の中村修氏に話を伺った。

このプロジェクトを実施した目的は、学生や通信事業社以外の人でも色々な面白いビジネスを提案できるようにするためである。もともと携帯電話は、オープンなプラットフォーム、すなわちサービス提供が誰であれ簡単に行われるべきだ。しかし、KDDI・ソフトバンク・NTT・ウィルコムといった通信事業社しか携帯電話の新しいサービスを展開できないという状態である。

総務省では現在2・5Gヘルツの、全国で使えるネットワーク空間を2つ、地域で使える空間を1つ提供している。その中の、地域で使えるネットワーク空間をオープン無線プラットフォーム・ラボと藤沢市が連合して使いたいという。来春には両者が総務省に使用の申請をする予定だ。もし総務省から使用許可が下りれば、オープン無線プラットフォーム・ラボによって、既存の通信事業社によるシステムに拠らない新しいネットワークを構築できる。さらに計画が進めば、来年末にはSFCから湘南台、辻堂までの地域内において無料でネットワークが利用することができる。そうすることで、誰もが自由に新しいアプリケーションを発想でき、展開することが可能になる。

今はどのくらい予算が掛かり、どういう技術を用いれば良いのかというテストのための全体概要ができた段階である。今後は細部にわたって設計をし、総務省への申請書を作成していく予定である。

この試みには、SFCの研究所から環境情報学部教授兼政策メディア研究科委員の村井純氏、中村修氏、政策・メディア研究科教授兼総合政策学部教授の小檜山賢二氏らが参加している。未来のネットワーク及び、それを用いることで展開される新たなビジネスの可能性を期待したい。

(舟橋美奈子)