「ブルーライト」という可視光線(電磁波のうち、光として人間の目に見えるもののこと)の一つがこの睡眠障害の一因として問題となっていることをご存じだろうか。

ブルーライトとは、LEDに多く含まれる青色光のことである。パソコンのモニター画面や液晶テレビはもちろん、近年急速に普及したスマートフォンにもLED液晶が用いられている。では、ブルーライトがなぜ不眠の原因になるのか、また、質の良い睡眠を得るためにはどうすべきなのだろうか。慶大医学部眼科教授であり、ブルーライト研究会代表である坪田一男教授にお話を伺った。

ブルーライトは、エネルギーが可視光線の中で一番大きい短波長の光で、生物の生体リズムに関与していると考えられている。この青色光により、生物は朝や昼を感じる。そのため、夜間に浴びると体が昼だと勘違いし、不眠を引き起こしてしまう。坪田教授は「夜にブルーライトを大量に浴びることは、夜中に食事をすることと同じくらい身体に悪い影響を及ぼす」と話す。睡眠障害による生活リズムの乱れは将来糖尿病やがんなどの深刻な病気にかかるリスクをも高めるという。

しかし、昼間はバイトやサークル活動などで忙しく、夜にパソコンやスマートフォンを使用しなくてはならない人も多いだろう。その場合、質の良い睡眠を得るためにどうすれば良いのだろうか。坪田教授は、夜にブルーライトを浴びない、逆に昼間にしっかり太陽光を浴びることが良質な睡眠を得るために最も良いとした上で、「スマートフォンやパソコンなどの液晶をなるべく目から離して使用すること、スクリーンの明るさを調節すること、真っ暗な場所で使用するのは控えること、この三つが夜にLEDを使用する際に気を付けることだ」と述べる。また、最近ではブルーライトをカットする眼鏡が販売されている。それを使用するのも一つの手だろう。

ブルーライトの影響を少しでも意識することが、正常な生活リズムを得るための一番の近道なのかもしれない。
(小松美穂)